クレー撃破の理論    トラップ射撃編                 大井康之

この理論は、自分の経験を基に、一定の射撃の経験、実績のある人のためにまとめた、射撃の実践理論である。
射撃のスタンスも確定し、射撃銃に関しては、各人それぞれにあった銃であることを想定している。
経験と理論が、うまくかみ合うと、安定した射撃の実績が上げられると思う。

トラップ銃の銃身は、照星と、中間照星が、重ならないように挙銃した場合、銃のベンドの高さの違いにもよるが、散弾のパターンの中心は、クレーの撃破点の約30mのところで、約30cm上方に到達するようになっている。 そのため、トラップ銃で、飛び出したクレーを狙うときには、銃身(照準)でクレーが重ならないように狙撃することができる。
特に、左右に飛行するクレーを狙う場合は、この原則を守らないと、銃身によりクレーが隠れ、クレーの確認がおろそかになってしまう。

次に、コールしてクレーを発射させ、照星がクレーに追いつき、引き金を引き、散弾が発射されるまでの時間は、目でクレーを確認し、引き金を引く指令が、視神経から脳に伝わり、脳からの刺激が神経に伝わり、手指の筋肉を刺激して収縮し、引き金を引くまでの時間であり、約0.1秒を要する。

また、射台から15mのクレーハウスからクレーが飛び出し、クレーが割れる時の射台からの距離は、平均して約35m前後であり、散弾の弾速は、秒速約320m前後である。 したがって、射台から約35mの距離にあるクレーに散弾が到達するまでの時間は、約0.1秒かかることになる。
これは、偶然にも、目でクレーを確認して、引き金を引くまでの時間と、だいたい同じ時間の約0.1秒である。

もしも、コールして発射したクレーに対して、即座に銃身(照星)を走らせ、飛んでいるクレーと等速で狙って引き金を引いた場合には、約35mのところを飛んでいるクレーは、約0.1秒間、飛行方向に移動し、その後から散弾が到達するということになる。 すなわち、クレーの飛び去った後ろの場所に、散弾が飛んでいき、クレーは破壊されないことになる。

それでは、どうしてクレーを撃破することができるのかと言うと、ここで、前に書いたように、目でクレーを確認して、引き金を引くまでの時間、約0.1秒と、クレーが飛び出してから割れるまでの、射台からの距離の平均約35m、それに散弾の弾速の秒速約320mの数字が微妙に関係してくるのである。

クレー撃破の理論は、加速しながらクレーに到達した瞬間に引き金を引くことで、目から引き金を引く確認の信号が出て、引き金を動かす筋肉が収縮し、散弾が発射するまでの約0.1秒が、結果的に、散弾の発射の時間を約0.1秒遅らせ、クレーを追い越してから散弾が発射されることになる。 そして、飛び出した散弾は射台から平均約35mのところを飛行しているクレーに、弾速約320mのスピードで、約0.1秒かかり、クレーの近くに到達するのである。
そのときの散弾は、射台から約35mで、直径約1mの円形のパターンとなり、的確にクレーを破壊することができるのである。 なお、この時の微妙な距離のずれや、時間のずれや、銃身の移動誤差があったとしても、散弾のパターンの大きさで、その誤差が吸収され、クレーは確実に撃破されるのである。

これらの理論に基づいて射撃を行えば、クレーの飛行方向である左、正面、右の三方向、どこから飛び出しても、同じ理論でクレーを撃破することができるのである。

射撃動作にはいるときには、精神統一をし、無心になり、肩の力を抜いて、射台に入り、静かに挙銃をする。 コールする時は、銃身は、白のマーク近くに静止させておき、目は白いマークの位置を凝視するのではなく、また、目は銃身を意識することもせず、クレーの飛行線の、中央、右、左と、全体が見渡せるように、すべての飛行線を確認できる見方で、たとえば、バックグラウンドの方を大まかに見ていることが大切である。

コールして、ほほ付けをしっかりしたまま、クレーが飛び出した方向を、目で確認したならば、通常、いつもクレーを撃破している位置、すなわち、自分が撃破点に想定している場所に、クレーが到達するのを確認し、そのクレーの位置の一点に、速やかに銃身(照星)を加速しながら、クレーをつかみ取るように進め、クレーに追いついたその瞬間に、引き金を引くことである。 銃身(照星)は、クレーに近づくときに、絶対に減速してはならない。 クレーを追い越すまで加速のままで銃身を進めるのである。 この時、目は照準を意識せず、クレーの方にピントを合わせ、照準はぼやけたままである。 このときに重要なことは、前にも書いたように、銃身(照星)はクレーに重ねることでなく、クレーの下を通過させることである。 そして、クレーを追い越した直後には、銃身は減速をしてもいい。

コールしてから、引き金を引き、散弾が発射されるまでの時間は、平均約0.5〜0.7秒ぐらいである。 初矢が失敗した場合には、この減速状態から再加速をし、再度クレーを追いかけ、同じように二矢の激発動作を行うようにする。

また、出割れの時には、挙銃動作のまま静止状態で、決して銃身は動かさないようにする。 このことは、クレーと等速で銃身が移動する狙いすぎによる失中を避けるためである。
くれぐれも、注意しなければならないことは、クレーが、左、正面、右のどちらに飛行した場合でも、クレーを銃身(照星)の上に位置するように心がけることである。

失中の約90%は、クレーの上と、後ろを撃ってしまうことだといわれている。 したがって、失中しないためには、いつも、上に書いた理論を基に、失敗をしないように留意しながら射撃をすることが大切である。
また、射撃の一ラウンド中には、無心と,集中力を、交互に繰り返すことが大切なことで、これが、安定した射撃を続けるための秘訣である。